飼い主の皆様へ

錦戸先生と出会って、もう十数年が経ちます。

小さい頃に飼っていた愛犬(リキ)が、病気で旅立ってしまった過去があるので、愛猫(ウィル)には、できる限り元気で過ごしてほしい。
そんな想いで近所の獣医さんを探していたところ、錦戸先生に出会ったのがきっかけでした。
私自身、なかなか良くならずツライ思いをしているお客さんの漢方相談を受けているので、人と動物という違いはあっても、錦戸先生の医学に対する考え方にとても通じ合うものを感じました。
亡き愛犬であるリキが導いてくれたのかもしれません。
あのときの思いがあるからこそ、自分と同じような境遇に立たされている飼い主さんのお役に立ちたい。
皆さまのパートナーであり家族であるワンちゃんやネコちゃんの生命を精一杯大切にしてあげたい。
そう思うのです。
少しでも皆さまのお役に立てるよう、事務局スタッフとしてしっかり取り組んでいきますので、
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
天国のリキがきっと喜んでくれることを願いながら。

ペット漢方研究会 事務局 門口忠祐 

愛犬リキとの思い出
愛猫ウィルとの縁
そして錦戸先生との出会い

長文ではありますが、現在に至るまで経緯を話させていただきます。お時間があるときにでも、お付き合いいただけましたら幸いです。

初めて犬がやってきた!秋田犬のリキ。

今から数十年前になりますが、中学3年の秋、初めて犬を飼いました。兄が知り合いから分けて貰った秋田犬で、私たちは「リキ」と名づけることにしました。
リキの兄弟は、品評会で全国優勝する立派な血統だったようですが、リキは油断するとすぐ尻尾がダラーンとなってしまうため、生後3ヶ月ですでに駄犬扱いをされてしまったそうです。
でも念願のペットだったので、私たち兄弟はリキを弟のようにとても可愛がっていました。ぜんぜん芸も覚えず、ご飯ばかり食べてるリキでしたが、そんなお茶目なところが愛おしくてたまりませんでした。

 

大好きなのに、叩いてしまった…

リキのことをとても大好きだった私ですが、一つだけイライラしてしまうことがありました。
散歩中、何度も急に止まるのです。
秋田犬なので、自転車にリードを括りつけ毎日3~5km走っていました。パワーとスピードのあるリキに急ブレーキを掛けられると、自転車の私はつんのめってケガをします。しかし、止まった後すぐに走り出すので、てっきり気まぐれな犬だとばかり思っていました。
ある日、例のごとく転倒した私はアタマにきて、リキの背中をこん棒で思いっきり叩いてしまいました。なんで分からないんだよ!ぼくがケガをするじゃないか!頑丈でいつも元気なリキが、「ギャーン!ギャーン!」と1分近く悲鳴をあげました。
自分は何ていうことをしてるんだ…。私は、ハッと我に返りました。「ごめん。…ごめん。」と泣きながらリキの背中をさすりました。
あのときの私は、なんにもリキの本当の苦しみを分かっていませんでした。
ごめんよ、リキ。本当にごめん。 

何にも分かっていなかった、リキの本当の苦しみ

高校卒業後、上京した私はリキと離れた生活を送っていました。
そんなある日、突然、弟から電話があったのです。
「散歩中にリキが急停止する頻度が増え、どうもおかしいと思って地元の獣医さんに見せたら、フィラリアで殆ど手遅れだそうだ」とのことでした。
リキが、散歩中に突然止まるのは、気まぐれでも何でもなかったのです。フィラリアで心臓が苦しくなって止まっていたのです。それでも自転車の私に置いて行かれまいと、健気に必死に走っていたのです。
それなのに、あのときの私はリキの背中を叩いてしまった。毎日いっしょに過ごしていたのに…
どうして、あのとき気づいてあげられなかったんだろう。
どうして、もっと早くに病院に診せにいかなかったんだろう。
その日の夜、私は自分を責め、一晩中泣き続けました。

さよなら、リキ。ごめんよ、リキ。

フィラリアの話を聞いて以来、私は帰省するたびにリキに優しく接しました。
リキも、思いっきり私に甘えてきてくれました。
しかし、当時は手の施しようがなく現代のように情報を手軽に得ることもできなかったため、私たち家族は、リキの最期のときが来るのをただ待つしかありませんでした。
フィラリアだと判明してから、数年後、リキは天国へと旅立ちました。
辛い思いをさせてしまった後悔とリキへの愛おしさが、私を眠らせませんでした。
リキの夢を何度もみました。そして朝起きるたびに、リキの病気をもっと早くに理解してあげられたら手遅れにはならなかったかもしれないという思いがよぎりました。

リキが運んでくれた
迷い猫ウィルとの出会い

リキの死から数年後…
ある日、当時勤めていたドラッグストアで休憩をとっていたときのことです。
休憩室から出ようと扉を開けたとき、なんと、そこに1匹の子猫がいました。ふわふわの毛で、目がクリクリしていて、猫にはさほど興味がなかった私でも、つい目尻を下げてしまうような可愛いさでした。
お客さんに問い合わせても皆さん心当たりがなく、どうも一人で迷い込んできたようです。ご近所の人に聞いてまわってみても、やはり無駄でした。

数日が経ち…

当然、店では飼えないので、良心の呵責に苛ませながら、それでも心を鬼にして100m程離れた空き地に置きにいきました。
野良としてどうか何とか生き延びていってほしい…
何とも晴れない気持ちを抱きながら、トボトボ店に戻ると、なぜか不思議なことに、子猫の姿が…!
あれっ?と思い、2回、3回と何度やっても、なぜか私より先に戻って、ドアの前にちょこんと座っています。つぶらな瞳でこっちを見つめてくる子猫。困ったな…どうすればいいんだろう…。

つぶらな瞳が忘れられず…

そこで、私は譲り受けたいと申し出てくれる方を探しました。
何人か見つかったのですが、「家族の了承をとってから…」とすぐに連れて帰ってはもらえず、猫好きの方に頼み込んで、1日だけ預かってもらうことにしました。
その晩、家内にその話をすると、「どんな子か、一目見ておきたかったなー」「でも見たら飼いたくなっちゃうねー」「多分ないだろうけど、もし欲しいと言っている人が皆ダメになったら、我が家が貰おうよ!」しまいには「なんですぐ連れて来なかったの?」と、どんどん話が膨れてしまいました。

リキ、ありがとう!

幸運にも(?)、申し出てくれていた人達はさまざまな理由で(涙ながらに)やはり飼えないと、断ってきました。最後の人のお断りの返事を、嬉々としてお受けし、私はダッシュでこの「天使からの贈り物」を家に連れて帰りました(笑)
そして、いつの間にかリキの哀しい夢は見なくなりました。
もしかすると、リキが運んできてくれた出会いなのかもしれません。リキ、ありがとう。

ウィル!
幸せをくれてありがとう
(2013年2月追記)

2013年、2月11日、朝8:35、 ウィルが虹の橋を渡りました。
親孝行にも、家内が休日で、私も動ける日を選んだかのようでした。享年15歳と半年。
最後は大好きなママ(家内)の膝の上で、両親(私達夫婦) に見守られて逝きました。
数年前、とても調子が悪かった時にようやくレントゲンを撮る事ができ (普段は元気いっぱいに暴れ、とても大人しくレントゲンを撮らせてくれなかった為。またその必要がないくらい元気いっぱいだったからです) その時初めて、心臓と肝臓が通常の1/3の大きさしかない事が判明しました。生まれつきの奇形との事。
それからは錦戸先生と相談し、あの手この手で西洋医学、漢方両方から、最善の手を尽くしました。
おかげで、錦戸先生曰く、「限界を超えるくらい」頑張ってくれました。
ウィル、15年と半年、幸せをくれて有難う。うちの一人息子、まさしく天使。
ウィルがいたから、父さんも母さんも幸せに暮らせたんだよ・・・。
ある説によれば、ワンニャンたちは3年で生まれ変わってくる、との事。
3年後、ペットショップや、初めにウィルと 出会った場所に足を運び、必ず見つけて連れて帰るからね。
また一緒に暮らそうね!

ウィルが残してくれたものは、とても大きいです。錦戸先生との出会い、そしてこの漢方研究会。
ウィルに試してみて正解だった処方も、少しは研究会にフィードバックされていますし、薬の飲ませ方もうまくなり、飼い主様を励ます事も少しは出来るようになったし・・・
微力ながら、ほかのワンニャンたちの役に立っているかもしれません。
これからも、頑張って、少しでも皆様の支えになれれば幸せです。
それが、愛するウィルの意思でもあると思うからです。
 
ありがとう、大好きだよ、ウィル

錦戸先生との出会い

二度とリキのような思いはさせまい。ウィルの健康管理のために、私は獣医を探し始めました。人づてに近所に評判の良い獣医さんがいると聞き、すぐに錦戸先生をお訪ねしました。連れて行って大正解でした。

錦戸先生のすごさを実感

健康管理には気は配っていたものの、ウィルが嘔吐を繰り返し、吐物に少し血が混じっていたことがありました。その日、錦戸先生は出張中で、ひとまず他の獣医さんの所に連れて行きました。
大事に至らなかったので良かったのですが、注射を打つときにウィルは大暴れ。注射1本に大変な労力を要したのです。
翌日。すぐにウィルを連れて、錦戸先生の所へ行きました。すると、フギャーと言う暇もなく、たったの1秒で注射が終わったのです。ウィル本人も「あれっ?今から一暴れしようと思ったのに・・・。」と、キョトンとしています。
すごい…。私は素直にそう感じました。

事務局スタッフをさせていただくことになったキッカケ

私自身、人の胃潰瘍や慢性胃炎、十二指腸潰瘍、胃癌・大腸癌などの消化器官の漢方相談を受けているので、錦戸先生とは、いつも様々な症状や病気について話し合っていました。
そんなある日、いつものようにウィルの定期検診のために先生のところを訪れました。すると「動物も、癌(腫瘍)や心臓病、難治性皮膚炎などの難病の子が多いんだ。」「熊本だけじゃなく、他県の獣医さんからも手に負えなくなった子達が紹介されてる事が年々増えてきて、色々悩みながら取り組んでる。」という話になりました。
たまたまその時、私は老舗漢方薬局の相談堂さんとペット用サプリメントの開発をしていたタイミングでした。いつもお世話になっているお礼に少しでもお役に立てれば…早速、錦戸先生に試作品を使って頂くことにしました。

その後、「門口君、あのサプリはすごいよ!いい結果が出てるよ!」と言ってもらえ、さらにご縁を深める事になり、錦戸先生、相談堂さん、そして私門口の3名でペット漢方研究会を立ち上げ、事務局スタッフをやらせていただくことになったのです。
これも、亡き愛犬のリキが導いてくれたのかもしれません。
少しでも皆さまのお役に立てたらという思いで取り組んで参りますので、これからもどうかよろしくお願い致します!

プロフィール

門口忠祐(もんぐち ただひろ)
1958年3月1日生まれ
薬店ウィルドラッグの店主
錦戸獣医科病院のペット健康相談 事務局スタッフ(主に運営事務を担当しています)


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